㈱エスティ―・ワイズ  吉 野 康 夫

倉敷市にある「大橋家住宅」。

大橋家は、塩田・新田開発で財をなした大地主で、この住宅は1796年から1799年にかけて建築され、築200年を超える住宅。倉敷町屋の典型を示すものとして、国の重要文化財に指定されています。

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1階は倉敷格子、2階には倉敷窓を備え、長屋門を入った右手には「なまこ壁」の土蔵を有している。

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母屋は入母屋造りの本瓦葺き、屋根裏に部屋と厨子(屋根裏、天井裏の物置場)を設けた二階建てになっています。仕事がら古民家に接することが多く、趣味と実益を兼ねての住宅の探訪、既に五度の訪問。

1回の滞在時間は1~2時間、毎回新しい発見に出会う。「おおざしき」「書斎」「しんざしき」「だいどころ」と場所を変え、座してただぼんやりと時間を過ごす。まさに、「お気に入りの場所、お気に入りの時間」です。

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上の間(おおざしき)からの庭の眺め、書斎からの眺め、それぞれの場所で趣のある眺めを提供してくれる。

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過去において二度の大きな改造を得て現在に至っているとのことですが、部分的な補修は幾度となくおこなわれているのでしょう、柱などに改修の跡が伺われます。古民家改修に参考になる良い教材がいたる所にあります。きちんと手を加えていけば、木造建築の美しい姿を後世に伝えることができるのです。

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この大橋家住宅には、木造建築の繊細な表現、そして台所の重厚な小屋組みなど日本建築の伝統技法が随所に見受けられます。使用されている木材は地域産の松を主材料とし、化粧材にはケヤキや杉が使われています。土間の出入口部分は大八車が出入りしやすいように土台が取り外せる工夫もされています。

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耐震要素としては、土壁、小壁、足固め、長押、ほぞ貫などと思われますが、また足を運んでゆっくりとみていきたいと思います。

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大橋家住宅を訪れ、倉敷に宿泊する際に訪れる大橋家住宅の長屋門の一角にある居酒屋「鬼の厨 しんすけ」、美味い料理と地酒を嗜みながら「お気に入りの時間」を過ごすのも楽しみの一つです。