何かを気に入るとはどういうことかと考えてみると、お気に入りというのはいわゆるこだわりということでもあります。

設計をやっている人間は何かしらこだわりがあることが多いのではないかと思います。

設計者は(最近こそCADですが)やはり線を引く商売ですから、特に筆記用具などはどこそこのものが良いなどと何かとうんちくが多いものです。

私は筆記用具には特にこだわりがありませんが、実は線の太さには少々こだわりがあります。

筆記用具は普通のペンテルのシャープペンシルですが、芯の太さは0.5ミリでも0.9ミリでもなくずっと0.7ミリ。字を書くだけなら0.5ミリでもよいのですがスケッチするにはすこし物足りない。

0.7ミリは少し太めでスケッチにもちょうど良いニュアンスが出るし、0.9ミリですと字を書くには太すぎるので細かい字はつぶれてしまうし、やはりどうしても0.7ミリでなければならないわけです。いろいろな太さのシャープペンシルを試してきてたどりついた結論で、これだけはこの20年くらい変わりません。



そしてスケッチに使うのはLIFEのA4サイズのセクションペーパーです。

曲面の建物なら別ですが、通常の四角い建築をスケッチするにはこの5ミリ方眼が大変に便利なのです。このセクションペーパーも大変なロングセラーですが、なくなってほしくないものの一つです。



さて、文字を書くといえば 手帳の話です。

最近はスマートフォンでスケジュール管理する人が多いですが、個人的には手書きの手帳の機能を超えるものはないと思っています。

手で書くことで、概ねのスケジュールは頭に入るものです。手帳を忘れてもだいたい直近のスケジュールは覚えています。

私はイギリスのLETTS社の手帳をこの10数年間愛用しています。かならずここの手帳を選んでしまう理由は何か?

それは第一に大きさと薄さがよいこと。横8.5センチ、縦17センチの2:1のスリムなプロポーション。意外にこのプロポーションがありません。見開き2週間分、1ページ1週間で土日を含めて1ページが横に7等分です。1日に書き込める量がともかくちょうどよいのです。

また、上質で丈夫な薄い紙を使用しているのでとても薄いのです。そのためカバンの中でもかさばりません。

第二に利用者が自由に書式を組立できること。手帳の多くは目盛があり時間が記入してあり、強制的に書く欄や書式が設定されています。

これが実は窮屈で、私にとっては書きにくいのです。

 

なにか決められた狭い部屋に無理やり多くの家具を納めなければならないそんな感覚です。

私は会議など始まり時間のみを記入します。たいていのスケジュールは終わりの時間を想定して時間を組むので実はマス目のようにスケジュールを書く必要はないのです。(あくまで私の場合はですが) したがって自由に書式が決められるのがいい。そういう手帳は実はあまりありません。

第三にずっと変わらないデザイン。

同じメーカーの手帳でも年ごとに細かいデザインが変更されたりするものです。(たとえばマイクロソフトのエクセルなどがバージョンアップと称して変更した部分が、とてつもなく使いずらくなったりするように)長年親しんだものは必ずしも変更がよい方向に行くとは限りません。ここの手帳は基本的に10年前とまったくデザインが変わりません。変わるのはむしろ最後のページに毎年掲載されている世界地図の国の名前だったりします。

もちろんその代わりに各人の使い勝手に応じて様々な日割りや書式などデザインバリエーションがあらかじめ用意されているのですが、各々のバリエーションはほとんど変わらないのです。(ちなみに私はずっと2週間分見開き月曜始まりの「72SJ」という型番です。この型番も10年間変わりません。) 変わらないということでストレスがないということもあるのではないかと思います。

 長年LETTSの手帳を使ってきて、本当にこういう手帳のような飽きの来ない建築をいつか作りたいものだといつも思うのです。