広島市南区の南端にある元宇品という周囲3kmの小さな島をご存じでしょうか。

そこは市内にありながら原生林に覆われ、瀬戸内海国立公園特別地域の一部になっています。

数年前に地元住民・有識者・関係機関などで結成された「アース・ミュージアム元宇品構想推進委員会」という会があり、元宇品を訪れた人々が野外博物館(ミュージアム)のように自然を楽しんだり、地球(アース)環境の不思議さや美しさ、大切さを感じ、学べる場となることを目指した活動をしています。

私はその中で自然観察ガイドの会に属し、毎月1回、元宇品をめぐる「地球さんぽ」と銘打った自然観察会のお手伝いをしています。



                  海岸から見た元宇品の灯台

元宇品の森林は約450年もの間、人の手が加えられることなく原生林として、完成した森林の姿を残しています。

元宇品のシンボルともいえる推定樹齢300年のクスノキやツブラジイ、ヤブツバキ、カクレミノ、アベマキ、クロキなどの広葉照葉樹林が広がり、中国地方では元宇品でしか見ることのできないツチトリモチなど希少な植物を観察することができます。



              推定樹齢300年のクスノキ

原生林の中は昼間でも薄暗く夏場でも涼しい森で、木々が発するフィトンチッドと呼ばれる癒しと安らぎの成分で満ちていて、森の匂いを感じながら耳をすませば波の音や鳥のさえずり、虫の声が心地よく聞こえてくるまさに癒しの空間なのです。



                   ツチトリモチ

眼下に目を落とせば、木々の間から穏やかな瀬戸内の海が見えてきてきます。浜辺ではいろいろな貝の仲間たちやカニ、イソギンチャク、カメノテなどが生息して、子どもたちの海辺の生き物観察の場としても親しまれています。


             ミドリイソギンチャク

元宇品の魅力は原生林だけにとどまらず、元宇品全体を覆う「広島花崗岩」、過去にいくつもの大規模な地震があったことが推測される「断層」や海面の上昇があったことを物語る「海食洞」、「海食崖」など多くの地質現象が見られることも魅力の一つです。

「広島花崗岩」が形成された時代は恐竜が栄えていた約8500万年前の中生代白亜紀と考えられています。元宇品の沖合ではナウマン象の化石やオオツノジカの化石などが引き上げられていて、大陸と陸続きだった氷河時代にナウマン象を追いかけていた元宇品原人の姿を想像するのも楽しいです。

そんな遙か遠い昔に思いを馳せると、46億年と言われる地球の歴史のスケールの大きさを感じずにはいられません。

                            節理

森に入り、五感を澄ませば、日頃のストレスが消えていきます。気が遠くなるような地球の歴史を想像すると悩みもちっぽけなものに思えてきます。

忙しい日常ですがちょっと立ち止まって自然に身をゆだねる時間を持ってみませんか?

 「地球さんぽ」は毎月最後の日曜日に開催しています。どなたでもご参加いただけますので、「アース・ミュージアム元宇品」でインターネット検索してみてください。  https://www.facebook.com/motoujina.guide